J1の舞台へ ― 水戸ホーリーホック様の新スタジアムでイベントWi-Fiを提供しています(2026/27シーズン)

水戸信用金庫 スタジアム

水戸ホーリーホック様の新ホームスタジアムとなる水戸信用金庫スタジアムで、Starlinkを活用したイベントWi-Fiを提供しています。提供エリアの拡大に伴う現場の工夫をご紹介します。


昨シーズンに引き続き提供しています

2026/27シーズンの明治安田J1リーグが開幕しました。当社は昨シーズンに引き続き、水戸ホーリーホック様のホームゲームにおいて、Starlinkを活用したイベントWi-Fiの設計・構築・運用支援を担当しています。 
今シーズンは、大きな変化がひとつありました。ホームスタジアムが、ケーズデンキスタジアム水戸から水戸信用金庫スタジアム(笠松運動公園陸上競技場)へと移ったのです。
会場が変われば、ネットワークも再設計が必要です。前回の記事でご紹介した構成をそのまま持ち込むわけにはいきません。本記事では、その続編として「ホーム移転で何が変わったのか」を中心にお伝えします。

ホームスタジアムが移転しました

水戸信用金庫スタジアムは、茨城県の笠松運動公園内にある陸上競技場です。J1リーグが求める15,000人規模の基準を満たすスタジアムとして、2026/27シーズンからホームゲームの舞台となりました。私たちネットワークを預かる側から見ると、スタジアムが変わるということは、色々な変化に対応する必要があります。

  • 建物の形状と、電波の通り道が変わる
  • 商用電源が取れる場所が変わる
  • 来場者と運営スタッフの動線が変わる
  • フードエリアの拡大に合わせ、通信を届けるべき範囲を広げる

なかでも今回いちばん構築・運用面への影響があったのは、エリアの広さでした。

エリアの大幅な拡大

昨シーズンまでのケーズデンキスタジアム水戸では、メインゲート周辺とサブグラウンドのフードエリアを中心に必要なエリアを限定的にカバーする設計でしたが、水戸信用金庫スタジアムではメインスタンド側一面に来場者が滞在するエリアが広がっています。運営設備やフードエリアも、スタジアム片側をぐるりと取り囲むように配置されました。

メインスタンド側

  • 入退場口、再入場口(複数箇所)
  • グッズ売場(メイン側)
  • テント売店 約16店舗
  • キッチンカー 約25店舗
  • ときわ縁日、フットダーツ、道の駅出店などの体験・物販ブース
  • チャージ機、くじ、ガチャなどの決済をともなうブース
  • VIP受付、メディア受付、関係者受付・招待券引換

数えてみると、飲食の出店だけで30店舗を超えます。基本的に全店舗でキャッシュレス決済を前提としており、受付や入場ゲートでもチケットの照会にネットワークを必要とします。昨シーズンは必要な場所にピンポイントで提供という感覚でしたが、今シーズンは「スタジアムを半周する」規模になりました。そこで、Starlinkの設置箇所を増やしつつ、メッシュWi-Fiも駆使して広大なエリアをカバーしました。
なお、来場者向けの通信については携帯キャリアの移動基地局も入っており、私たちのイベントWi-Fiはそれを補完する位置づけという役割を担っています。

決済端末用のネットワークを隔離

グッズ売場やフードトラックの決済通信に遅延が生じると、そのまま「行列」の発生につながります。遅延が増加すると1人あたりの会計時間が延び、その遅れが後ろに積み上がっていくためです。
そこで、グッズ売場とフード決済のWi-Fiは、来場者向けの通信とは分けて収容しています。昨シーズンにサブグラウンドのフードエリアでのやり方を、そのまま持ち込んだ形です。混雑のピークを迎えてもキャッシュ決済が滞らずに流れていく様子を見ていると、地味な仕事ながら報われた気持ちになります。

新しいスタジアムでの運用は、まだ始まったばかりです。レイアウトも試合ごとに少しずつ変わりますので、当面は毎試合が調整の連続になりそうなのと、観客向けのWi-Fiは、混雑のピークでも快適に利用していただくためには、まだまだ改善の余地があると感じています。この積み重ねこそがイベントWi-Fiの本質だと考えています。

昨シーズンのノウハウの活用

会場は変わりましたが、昨シーズンに積み上げた現場の工夫は、そっくりそのまま使えました。

  • カゴ台車での機材運搬:Starlink、ルータ、ケーブル類、電源を試合ごとの「セット」として積み込み、設置場所まで一気に運びます。初めての会場では動線の把握に時間がかかるものですが、運ぶ回数が少ないほど迷う回数も減ります。
  • ポータブルバッテリー:商用電源の位置に縛られず、電波の取りやすい場所・利用者に近い場所を起点に設置位置を決められます。設備の配置がまだ固まりきらない移転初年度では、この自由度がとりわけ有効でした。
  • アクセスポイントの高所設置:Cスタンドやペグ・ロープを使い、人の頭上を越える高さを確保します。人が集まるほど電波は遮られるため、高さの確保は現場で最も有用な工夫のひとつです。
  • 試合ごとの計測と調整:アクセスポイント単位の接続数・通信量・エラー数を記録し、次の試合に向けて配置や設定を見直しています。

まとめ ― スタジアムから、あらゆるイベント現場へ

ホームスタジアムの移転は、クラブにとっての大きな節目であると同時に、私たちにとっても設計を一から見直す機会となりました。今回の取り組みを通じて、改めて次のように感じています。

  • 会場が変われば、通信設計も引き直しになること。前例をそのまま持ち込めるとは限らないこと
  • キャッシュレス決済や受付業務にとって、通信はすでに「あれば便利」ではなく「なければ運営が止まる」インフラになっていること
  • 一方で、カゴ台車やバッテリーといった地道な現場の工夫が、そのまま運用効率に効いてくること

スポーツの試合に限らず、音楽イベント、地域のお祭り、大型の展示会など、人が一斉に集まる現場での通信のご相談は年々増えているように感じます。IIJエンジニアリングでは、スタジアム規模のイベントWi-Fi構築から、Starlink Mini単体での小規模イベント向け回線提供まで、イベントの規模や環境、期間に合わせたネットワーク環境の構築・運用をご支援しています。

ご相談は、以下のお問い合わせフォームよりお気軽にどうぞ。次のスタジアム、次のイベント会場で皆様にお会いできることを楽しみにしております。


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